高野悦子『二十歳の原点』
ランプにマッチで火をつけたとき、そういえば、マッチについてのいい文があったなぁ…と
マッチ擦る つかの間海に霧深し
身捨つるほどの祖国はありや
短歌ではなかったはずだ…
マッチに火をつける。先からだんだんと指先へと炎が移ってくる。子供がやりそうなことである。「どれだけ長くがまんしていられるか、いちにのさん」。アチッと反射的に離すのでなく、熱いなあと意識してから離すようになれたらと思う。反射的にパッと離したのでは、その瞬間何が起ろうと全く関知しないのである。それよりも、これからどうなるか、どうすればよいかを考え、自らその痛みを痛みとして十分に感じとり、それからマッチ棒を捨てるようになりたい。
この言葉を探すために読み返して、たくさんのいい言葉を見つけることができた。