気を許さないひと
私は友達が少ない。
「あんた、気を許せる人間つくりなよ」と言われて20年になるが、いまだにつくれない。
気を許す必要を感じないのだ。
数少ない友達とて、普段から連絡を取り合うわけでもなく、たまにSNSにいいね!を押すくらいの関係だ。
だが、それで構わない。
会えば思い出話や近況報告で時間が過ぎる。
同じ話を何度しても構わない。
終電になったら話を切り上げて帰る。改札で別れたあと、電車内でお礼のメッセージを送って日常に戻っていく。
気を許していないのかと言われたら、そのときは気を許しているのだろうけど、すべてを許すわけではない。
風呂に一緒に入れるか、飲み回しができるか…それと同じレベルで考えてみてほしい。
それに、100%気を許せる相手なんて存在してはいけないと思っている。たとえ自分自身であっても、100%気を許すことはない。
私は自分自身にも気を許さない領域を持っている。自分自身に対する不可侵の領域、それを保つことで生きていけることもあるのだ。